これまで何度も『筋肥大にはコンパウンド種目が重要』とお伝えしてきました。
そこで今回は、コンパウンド種目に関して更に詳しく重要性や種目等を解説していきます。
筋肥大を起こすためにも重要な要素になりますので、是非参考にしてください。
コンパウンド種目とは
コンパウンド種目とは、スクワットやベンチプレスのように、複数の関節と筋肉を同時に動かして行う『多関節運動』によるトレーニング種目を言います。
逆に、単一の関節と筋肉のみを動かして行う『単関節運動』によるトレーニング種目を『アイソレーション種目』と言います。
最近では、『筋収縮』にフォーカスが当てられている事もあり、アイソレーション種目を行う比率が高まっている傾向がありますが、本来、筋力の向上、筋肥大、両方において最も重要かつ基本のトレーニングは、コンパウンド種目と言えます。
コンパウンド種目の効果やメリット
具体的にどのような効果が期待出来るのか見ていきましょう。
筋力の向上
コンパウンド種目は同時に複数の関節と筋肉を可動させるため、単一の関節と筋肉のみを使用して行うアイソレーション種目よりも重量を扱う事が可能となります。
その結果、アイソレーション種目を行った場合と比べて、同時に複数の筋肉を効率良く強化する事が期待出来ます。
例えばベンチプレスを行う場合、大胸筋以外にも上腕三頭筋、三角筋前部といった筋肉に刺激が入ります。
このように、複数の筋肉を同時に強化出来る点がコンパウンド種目の大きなメリットと言えます。
筋トレ初心者は筋肥大がしやすくなる
筋肥大を起こすためには、筋肥大を起こしたい筋部位に相応の負荷を与え、適切な栄養補給をする必要があります。
その『相応の負荷』を与えるために重要なのが、相応の負荷を扱う事が出来る『筋力』です。
例えばベンチプレスの挙上重量が50kgのトレーニーと100kgのトレーニーがいたとします。
当然後者の方が筋力が強く、ベンチプレス以外の種目でも使用重量が上がると考えられます。
もしこの二人が大胸筋の筋収縮を得ようとダンベルフライを行った場合、後者の方がより大きな負荷を与える事が可能となり、より高い効果を期待する事が出来ると考えられます。
また、トレーニングには『漸進性の原則』という原則があります。
これは、『筋肉を成長させるためには負荷を少しずつ上げていくべき』という概念を表しています。
つまり、挙上重量が50kgのトレーニーが、効率良く筋力を強化出来るコンパウンド種目よりも、筋収縮を得る事を意識してアイソレーション種目をメインに行ってしまうと、使用重量をなかなか上げる事が出来ず、結果として筋肉の成長が停滞しやすくなると考えられます。
従って、トレーニング初心者こそしっかりとコンパウンド種目を行い、筋力の強化に取り組みながら各種目の使用重量を上げていく事が、最も筋肥大に効果的と言えるでしょう。
『漸進性の原則』以外にも、トレーニングの効果を高める基本原則を解説した記事がありますので、興味のある方は参考にしてください。
筋力の向上、筋肥大のための適切な食事管理に関して詳しく解説した記事がありますので、併せてお読み頂ければ一層理解を深めて頂けると思います。
運動能力の向上
スポーツのほとんどの動作は『多関節運動』になります。
野球、ゴルフ、サッカー、格闘技等、もし今取り組んでいるスポーツがある方は動作をイメージしてみてください。
ほとんど全ての動作が、同時に複数の関節を可動させている事がイメージ出来るかと思います。
つまり、コンパウンド種目により多くの筋肉をバランス良く強化させる事は、それらスポーツ動作の改善・向上が期待出来ると考えられます。
例えばデッドリフトにより強化出来る筋肉は、ゴルフのアドレスを安定させる効果が期待出来ます。
このようにコンパウンド種目は、筋肥大だけでなく運動能力の向上につながる効果も期待出来るトレーニングと言えます。
主なコンパウンド種目
それでは具体的に各部位の主なコンパウンド種目を見ていきましょう。
コンパウンド種目・肩
オーバーヘッドプレス
| 可動する関節 | 強化出来る主な筋部位 |
|---|---|
| 肩関節 | 三角筋 |
| 肘関節 | 上腕三頭筋 |
| 前鋸筋 |
肩の種目として取り上げていますが、体幹部の強化や、ベンチプレスの補助種目として行う事もある、とても優れたトレーニングになります。
こちらの動画の解説が分かりやすいため拝借させて頂きました。
ショルダープレス
| 可動する関節 | 強化出来る主な筋部位 |
|---|---|
| 肩関節 | 三角筋 |
| 肘関節 | 上腕三頭筋 |
| 前鋸筋 |
座った状態で上下にプレス動作を行うので、対象とする筋部位はオーバーヘッドプレスに似ます。
- オーバーヘッドプレスに比べてより三角筋が対象になりやすい
- オーバーヘッドプレスはバーを鎖骨辺りまで落とすのに対して、ショルダープレスは肩と肘が平行の位置辺りで切り返す
といった細かい違いがある点にはご注意ください。
日本フィジーク界のトップ選手の解説動画を拝借させて頂きましたので、是非参考にしてください。
コンパウンド種目・胸
大胸筋の主なコンパウンド種目としては、やはりベンチプレスが挙げられます。
バーベルで行う場合とダンベルで行う場合の違いを解説していきたいと思います。
バーベルベンチプレス
| 可動する関節 | 強化出来る主な筋部位 |
|---|---|
| 肩関節 | 大胸筋 |
| 肘関節 | 上腕三頭筋 |
| 三角筋前部 |
大胸筋の種目として挙げられる事の多いベンチプレスですが、プレス動作を行う上で大胸筋以外の筋肉も使用しており、適切なフォームを維持する為には下半身の強度も要求されます。
こちらの解説動画を拝借させて頂きましたので、是非参考にしてください。
ダンベルベンチプレス
| 可動する関節 | 強化出来る主な筋部位 |
|---|---|
| 肩関節 | 大胸筋 |
| 肘関節 | 上腕三頭筋 |
| 三角筋前部 |
バーベルで行う場合との違いは、ダンベルで行う時の方が可動域を広く取れる点が挙げられます。
そのため、バーベルベンチプレスと比べると筋収縮を得やすい、というメリットがあります。
従って、バーベルベンチプレスとダンベルベンチプレスを、トレーニングを行う日によって使い分けるというのも有効な手段となります。
とても分かりやすい解説をされている動画を拝借させて頂きましたので、是非参考にしてください。
コンパウンド種目・背中
続いて背中のコンパウンド種目を解説していきます。
懸垂
| 可動する関節 | 強化出来る主な筋部位 |
|---|---|
| 肩関節 | 広背筋 |
| 肘関節 | 大円筋 |
逆三角形を作るうえで重要となる広背筋と大円筋を強化する事が出来ます。
懸垂はトレーニングに馴染みのない方でも知っている、とてもメジャーなトレーニング種目ですが、多くの方が間違った動作を行っている代表的な種目でもあります。
拝借させて頂いたこちらの解説動画を参考に、正しい動作で行う事を意識して取り組みましょう。
また、懸垂を逆手で行う事で上腕二頭筋も強化する事が可能となります。
上手く使い分けて、バランス良く強化していきましょう。
ローイング
| 可動する関節 | 強化出来る主な筋部位 |
|---|---|
| 肩関節 | 僧帽筋 |
| 肘関節 | 三角筋後部 |
懸垂が上下の動きだとしたら、ローイングは前後の動きと言えます。
背中のトレーニングの使い分けの一つの目安として
『背中を広くしたいなら上から引け、背中を厚くしたいなら前から引け』と言われたりもします。
どちらもバランス良く取り組んで、適切な筋力強化を図りましょう。
ローイングには様々な種目がありますが、出来るだけフリーウェイトで行って頂きたいという考えから、今回はベントオーバーローイングの解説動画を拝借させて頂きました。
是非参考にしてください。
コンパウンド種目・下半身
続いて下半身のコンパウンド種目を解説していきます。
スクワット
| 可動する関節 | 強化出来る主な筋部位 |
|---|---|
| 股関節 | 臀筋群 |
| 膝関節 | 大腿四頭筋 |
| 足関節 |
主に下半身の筋力強化メニューとして取り上げられるスクワットですが、実際には全身運動であり、腹筋をはじめ、上半身の筋力の強度も要求される種目になります。
その分身体に対する負荷も強く、筋力の強化には最適な種目でもある反面、怪我もしやすい種目と言えます。
まずは重量を追い求めるよりも、適切なフォームで行う事を何より重要視しなければいけません。
拝借させて頂いたこちらの動画を参考に、まずは適切なフォームで行う事を意識して行いましょう。
デッドリフト
| 可動する関節 | 強化出来る主な筋部位 |
|---|---|
| 股関節 | 臀筋群 |
| 膝関節 | ハムストリングス |
| 足関節 | 脊柱起立筋 |
| 広背筋 |
デッドリフトも、下半身に限らず多くの筋肉を強化出来る種目になります。
人によっては『背中の種目』と捉えている場合もあります。
今回は、強化出来る筋肉の面積という観点から下半身に分類をさせて頂きましたが、背面で姿勢を支える様々な筋肉を強化する事が出来る、非常に優れたトレーニング種目と言えます。
その分スクワット同様身体に対する負荷が強く、怪我をしやすいメニューである事は否定出来ません。
こちらの動画を参考に、適切なフォームで行う事を何より意識して行いましょう。
注意点
筋肥大のためにも、運動能力向上のためにも、まずはコンパウンド種目にしっかり取り組んで筋力を強化する事が重要と解説をしてきました。
しかし、既にお伝えしている通り、コンパウンド種目は相対的に強い負荷を身体に与える事になりますので、トレーニングボリュームが多過ぎたり、不適切なフォームで取り組んだ場合、効果が期待出来ないだけではなく、関節に過度の負担を与えてしまい、最悪怪我をしてしまうリスクがあります。
コンパウンド種目に取り組む際の注意点を解説していきますので、併せてお読み頂いて、しっかり意識して頂けたらと思います。
セット数・トレーニングボリューム
現在のトレーニングレベルや、取り組んでいるプログラムにもよるので、一概に何が正解という事は難しいのですが、一つの目安として推奨されているトレーニングボリュームに、一つの部位に対して一週間トータルで10セット前後になるようにセットを組む、という意見があります。
これは、多くのトレーナーやトレーニーが参考としているSchoenfeld博士の
Evidence-Based Guidelines for Resistance Training Volume to Maximize Muscle Hypertrophy
により指摘されている意見で、今現在とても信頼性の高い意見として採用されています。
また、最適な休息期間を設ける事の重要性も指摘されており、例えばNSCAというパーソナルトレーナー団体では、筋トレ初心者の場合であれば1日~3日の休息が最適である、と指摘しています。
これらの指摘を参考にトレーニングを行う場合、トレーニングは週3日程度となるため、一つの部位に対する適切なボリュームは、10回3~4セットを週に3回行う、という考え方が一つの目安となります。
中級者以上であれば更なるボリュームが必要となる場面もありますが、今現在十分な筋力が備わっていないという自覚がある場合であれば、こういった指摘を参考にトレーニングメニューを作る事が有効と言えるでしょう。
コンパウンド種目のみで筋トレメニューを組む場合
コンパウンド種目の重要性を理解して頂いて、コンパウンド種目をメインにトレーニングメニューを作ろうと考えている方も多いかと思います。
実際、初心者の方はその方が望ましく、むしろコンパウンド種目のみの方が効率良く筋力を強化する事が期待出来ます。
そこで、コンパウンド種目のみで筋トレメニューを作成する場合の考え方を分かりやすく解説します。
主なトレーニング動作
トレーニング動作は主に以下のように分ける事が出来ます。
| ホリゾンタルプレス | 身体の後から前に押す動き(ベンチプレス等) |
| バーチカルプレス | 身体の下から上に押す動き(オーバーヘッドプレス等) |
| ホリゾンタルロウ | 身体の前から後ろに引く動き(ローイング系の種目) |
| バーチカルロウ | 身体の上から下に引く動き(懸垂等) |
| ヒップヒンジ | 股関節を使って上半身を倒していく動き(デッドリフト等) |
| スクワット | しゃがむ動き |
これらの動きを再分類すると
押す・引く・倒す・しゃがむ
の4つに分類する事が出来ます。
従って、この4つの動作を万遍無く行えるメニューを組む事が、最も効果的に全身の筋肉を強化する事が期待出来ると考えられます。
具体的な筋トレメニュー例
| 月曜日 | 水曜日 | 金曜日 | |
|---|---|---|---|
| 押す | ベンチプレス | オーバーヘッドプレス | ダンベルプレス |
| 引く | 懸垂 | ベントオーバーローイング | ラットプルダウン |
| 倒す | ダンベルデッドリフト | ルーマニアンデッドリフト | デッドリフト |
| しゃがむ | ランジ | スクワット | ブルガリアンスクワット |
このように、多少メニューに変化を加えながら万遍無く4つの動作を行うメニューを組む事で、効率的に全身の筋力を強化する事が可能となります。
ちなみに重量は、それぞれ10回3セットを多少の余力を残して終われる程度の重量が望ましいでしょう。
全てのトレーニーにとっての最適解とは言えませんが、少なくともしっかりと筋力強化に取り組むべき初心者の方の場合であれば有効なプログラムだと言えますので、是非参考にしてください。
インターバル
これまでお伝えしてきた通り、コンパウンド種目は身体に対する負荷が強く、そのためインターバルはしっかり取る必要があると言えます。
以前は『インターバル60秒』という考え方が主流としてありましたが、最近ではもう少ししっかり長く取った方が質の高いトレーニングが行えるという指摘も増えてきました。
具体的には、コンパウンド種目の場合3分~5分程度を推奨する意見が強くなってきています。
トレーニング中は気分が高まり、ついつい前のめりになってしまいがちですが、1セット毎のトレーニングの質を高めるためにも、しっかりとインターバルを取る事を心掛けましょう。
インターバルに関して詳しく解説している記事がありますので、興味のある方はこちらをご覧ください。
サポートグッズ
身体に対する負荷が強いコンパウンド種目をメインに行う場合、サポートアイテムを使用する事は、トレーニングの質を高めるだけでなく、怪我防止にも有効と言えます。
こちらの記事に、おすすめのサポートグッズや、その使い方等を詳しく解説していますので、興味のある方は是非参考にしてください。
適切なフォームで行う
しっかりと効果を得るためにも、また怪我をしないためにも、適切なフォームで行うという事はトレーニングにおいて最重要課題と言えます。
また、それぞれの種目を解説した際にお気付きになられた方もいるかと思いますが、例えば上半身の多関節運動は基本的に肩関節と肘関節を同時に可動させます。
つまり、関節を動かす方向によって動く筋肉というのは変わってくるという事です。
そのため、適切なフォームで動作を行えていない場合、鍛えたい筋肉に適切に負荷が掛かっていない、という事にもなりかねません。
初心者であればあるほど適切なフォームを習得しやすくなります。
これまで紹介させて頂いた動画は、パーソナルトレーナー目線で見ても非常に分かりやすい解説動画ですが、動画だけでは習得する事が難しいという方も少なくないと思います。
その場合は、通われてるジムのトレーナーのパーソナルを受ける等をおすすめします。
たった1回でも適切な指導を受ける事が出来れば、トレーニングの質というのは格段に向上します。
ちなみに、自分に合ったジムやトレーナーを選ぶ際のポイントをトレーナー目線でまとめた記事があります。
興味のある方は是非こちらの記事も併せてご覧ください。
アイソレーション種目との組み合わせ
先ほど紹介した筋トレメニュー例を行った後に余力が残っている場合は、1種目もしくは2種目程度アイソレーション種目を追加する事も有効と言えます。
例えば、アームカールを追加して上腕二頭筋に刺激を与える。
サイドレイズを行って三角筋に刺激を与える。
といった事が考えられます。
ただし、あくまでメインはコンパウンド種目にあるという事は忘れないよう注意して取り組みましょう。
まとめ
- 筋肥大にはまず筋力強化が必要
- 初心者であればある程その効果は大きい
- コンパウンド種目は運動能力も向上させる
- 適切なフォームで行う
- 適切なボリュームで行う
- アイソレーション種目は余力があれば取り入れる
いかがでしたでしょうか。
コンパウンド種目が必要な初心者ほどコンパウンド種目の重要性を理解していない、というジレンマの解消に何か出来ないかと思いこの記事を書きました。
一人でも多くの方がコンパウンド種目の重要性を理解して、トレーニーとしてしっかりとステップアップしてくれたら嬉しいです。







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